the ore-diary

Sakurai Misuzu's Sex And The City
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その後の人生に影響を及ぼしたタコ部屋の話
俺が15歳まで住んでいた集落は、上空をロープウェイが通っていたくらいの山奥だった。
そんな場所に、毎月だったか隔週だったか忘れたが移動図書館が来てくれていた。

俺の母親はせっせと借りては読んでいた。たまに俺も連れていかれたが、なんせ宿題の中では読書感想文がもっとも苦痛(作者の気持ちなんか分かんねーよ、学校オススメのガキ向けの本に感想なんか持たねーよ)なくらいだから、何も借りずに手ぶらで帰ってくることが常だった。

ある日、俺は母親の借りてきた本が母親のミシン台の上に置いてあったのを見つけて、「お母さんってどんな本を読むんだろ?」と興味を持ってその本を手に取った。

三浦綾子「死の彼方までも」

死の彼方までも小5か小6の頃だったと思う。俺は一気に読んだ。学校から推薦図書として読まされる本よりはずっと読みやすかった。
夏目漱石みたいな旧仮名遣いもないし、太宰治みたいな分かるやつだけついて来い感もない。
夏目漱石がネオアコ、太宰治がシューゲイザーなら三浦綾子は歌謡曲かってくらいのとっつきやすさである。

「死の彼方までも」は4編からなる短編集で、最後に収録されている「逃亡」はタコ部屋から脱走する話である。
この話が、否、タコ部屋の登場が、人格形成途中の俺に少なからずの影響を及ぼした。
脱走話というだけで既にキャッチーなのだが、11歳にして初めて知ったタコ部屋の存在と過酷な労働を際立たせる恐ろしい描写が俺の心を捉えて離さない。
その日から俺はタコ部屋のことで頭がいっぱいになってしまったのである。

タコ部屋。地獄みたいなところ。それか刑務所みたいなところ。悪いことをしたら行くところ。悪い人にだまされたりして行くところ。マグロ漁船。借金が返せないと乗せられる。こわい。おさかな屋さんのマグロはみんなそういう人たちがとってきた。
アホの俺は毎晩おびえながら眠った。

大学生くらいの頃、その本をもう一度読んでみたいと思って探したが、なかなか見つからなかった。タコ部屋のインパクトが強くて作者もタイトルも忘れてしまったのだ。
そのうちにインターネットが発達し、いくつかのキーワード(タコ部屋スペース草枕で検索!)でタイトルが判明し、あの時に母親の借りたらしい本をAmazonで購入することができた。先日のことである。

この年齢になって読んでみると、印象はまったく違うものだった。
タコ部屋は、なんだか楽しそうである。
気のいい男たちもいて、人間のかわいらしさを感じられたりもした。

しかし一番驚いたのは、まったく覚えていなかった、この本に収められている他の3編である。
タイトルとなっている「死の彼方までも」もそうだが、読み直して深く心に残ったのは「足跡の消えた女」。ありふれた日常の中に生じた小さな違和感が徐々に積み重なっていくだけの、事件とも言えないような話。小学生にとっては難しすぎたのだ。
派手な展開の「逃亡」ではなく、こういう話を面白いと思うようになったんだなあと驚いた。

てな具合で、来週末に伊千兵衛でDJします。

Secret Lake City
デトロイト・メタル・シティ的な1/20(土) 18:00〜
at 吉祥寺ichibee
1000円(1D付)

★DJ
suzuki (club heaven)
Q (THE USUAL EVENING)
サクライミスズ(perfect pop)

★Live
swallow


まじめにネオアコとかギターポップをかけようと思っておるよ。
12:59

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